今回は親子で福岡遠征をして母が灰になった話です。

 

わたくし中城は、今月4日が誕生日だったのですが、

それを知った娘が

母 「今日ママ誕生日なんだよね~」

娘 「え!! ママ今日が誕生日なの?」

という会話を交わした直後、

娘 「いいこと教えてあげようか?

あのね、“4”ってね、死ねの“死”だよ♡」

 

という36歳ののっけからカウンターパンチをくらった中城です。

御無沙汰しております。

 

娘の“死ね”という言葉も

“4”という数字の四露死苦的な読みも

小学1年生の彼女にとっては

“覚えたてのジャンケン”みたいなものだってことくらいはわかっているサ。

しかし、このコラムを随分サボってしまったので

あながち娘の発言も的外れではない気がしとります…。

 

 

そんなわけで、ハードパンチャー(娘)の近況報告をば。

 

 

おじさんへ寄せる圧倒的な信頼。

 

娘はおじさんが好きだ。

好きというより信頼していると言った方がよいだろうか。

お兄さんでも、おじいさんでもなく“おじさん”。

理由は定かではないが、

世の中のおじさん的な人がすることに興味があるらしい。

 

 

 

以前、福岡の海辺に住む友人の元を訪ねた時のこと。

砂浜で貝拾いに夢中になっていると

一人のおじさん釣り人に出くわした。

 

「あのおじさん、なにしてるの? 」

と私にしきりに聞いてくる娘。

「釣りだよ」とザックリ答える母。

それだけではもちろん納得するわけがない娘は

浜辺に打ち上げられ、ビチビチしている魚を発見。

 

“これはチャンス! ”とでも思ったのだろうか。

「あのおじさんに持っていこうか? 」

「あのおじさんに聞いてみようか? 」

と再び聞いてくるのだ。

 

周囲は見渡す限りの広い砂浜。

明らかに不自然な距離感で

徐々におじさんとの距離を詰めて行く娘。

 

今にも話しかけんとばかりに

きっかけを探しているのが遠くからでもわかる。

 

しばらくほおっておいたら、

そのおじさんが浜で釣竿にエサを付ける隙をついて

遂に娘が話しかけた…!

 

▲初対面のおじさん釣り人に自分から話しかけるとは、良い根性してんじゃねぇか…!

 

 

娘    「それ、なぁに? 」

おじさん 「ミミズ」と激渋な回答。

娘       「………」。

 

ファーストコンタクトは成功したものの、

リアルな釣り経験は未だない娘。

返す言葉が見当たらなかったらしい。

おじさんのミミズ発言に思わず絶句。

 

 

懲りない娘は、今度はサップ×釣りを楽しむ

ハイブリッドスタイルのおじさんに興味を持つ。

釣りを終えてサップで浜に帰ってきたおじさんと

言葉を交わそうとするもタイミング合わず失敗。

 

「いい線まで行ったのにね(笑)」。

その様子をともに見守っていた友人は呟いた。

 

 

 

ガチで拾った貝殻、全部お供えものに。

 

 

 

色や形にこだわり抜き、浜辺で散々拾っていた

袋一杯の貝殻とまつぼっくり。

 

今日という日の記念に、と大切に持ち帰るのかと思いきや

この地域の氏神さまらしき神社に

みんながこぞって貝をお供えしている場を発見すると

ためらうことなく袋をひっくり返し、

ザババーッとお供えものにしてました…。

 

 

 

 

 

▲神社の境内にあったお供えコーナー(?)。みんなのが寄り選りの貝殻をお供えするシステムらしい

 

 

 

▲ちなみに写真中央の丸い薄紫のグラデーションがかったものが今日イチの娘の推し貝。

 

 

 

 

この後、私たちは福岡市水族館『マリンワールド』へ。

 

目玉であるイルカショーは2回も観覧。

水槽の中を華麗に泳ぐ魚たちに見惚れつつ、満喫。

なかなか決まらないお土産もなんとかゲットできた。

 

ここまでの道のりで母の体力は残り数パーセント。

 

良い日だった、と締めくくろうとする母の心を察してか

ふと素に返った娘が言葉を放つ。

 

 

娘 「最初の海に戻ろう」。

 

―――!!!!!!―――

 

なにがそうさせるのかわからないけれど、

彼女はあの海へ戻りたがっている…!

 

美しい海の生物たちの浮遊するさまや

イルカが華麗に宙を舞うショーを観ても満足することなく、

あのただっ広い海へ戻ろうとしている…!

 

普段なら“もういいよ! 帰るよ! ”

と強制帰国するところだけど

もうここまで来たら母も捨て身!

行けるとこまで行って見ようじゃないかと再び海へ戻る我々。

 

すでにクタクタの母を尻目に、再び浜へ解き放たれた娘たち。

オトナはこういう時、強く言い聞かせて帰るよな~と

同行してくれた友人に申し訳なく思いつつ、

チラリと様子を伺うと

なんと彼女も一緒になって貝を拾っていた…!

さ…さすが天性のクリエイター!(笑)

(友人はファッションデザイナーでイラストレーターです)

 

―1時間後。

 

陽が落ちかけて「さすがにもう限界だよ」と説得。

しぶしぶ帰りはじめたその時、

初めて娘のブーツが海水でビッショビショだったと知る。

 

「いつから?! 朝から?! 」

 

と聞いても特に娘の反応はない。

砂と海水まみれのブーツ。

どれほど気持ち悪かったのかは計り知れない。

 

よほど無頓着なのか、

遊びに支障をきたすからと意地でも言わなかったのか。

真意は定かではないけれど、その執念たるや…!

 

 

母はこの瞬間、灰になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中城明日香

 熊本市在住のフリー編集者・ライター。大分県山の中育ち。6歳と2歳の姉妹の育児は、月月火水木金金の勢いでほぼワンオペ。夫の職業は“理系。”とだけ答える無頓着さで、仕事と子育て、家事全般を白目を剝いてこなす日々。  毎週録画している番組は「渡辺篤史の建物探訪」、「今夜くらべてみました」、「ボクらの時代」。取材も「いつ始まっていつ終わったのかわからない」と称される“ボクらの時代スタイル”でやってます。

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