“鏡”に映る自分は、まぁまぁUZAかった。

“子は親の鏡”なんてよく言われる言葉だけど

私も例に漏れず、良くも悪くもそんな子育てをやってきたようだ。

と、言うのもここのところ小学校1年生になる長女の発言が

私の中でヒヤリハッと体験の連続だからだ。

 

 

あれは、学校に行く前の朝食時。

慌ただしい朝にもいたって

マイペースを貫く長女が何気なく喋り出した。

 

「私ね、ももちゃん(次女)の心をデザインしているんだよ」。

バタバタと用意をしながら、聞き捨てならない言葉に私は手を止める。

「ン? どういう意味??」

 

「ももちゃんがエーンって泣いてるでしょ?

その時、面白いことを言ったりして笑わせるでしょ?

そしたらニコニコになるから。

だから私はももちゃんの心をデザインしてるんだ」。

 

朝からガミガミ怒り散らしていた母役から一転して

この瞬間、ライタースイッチが入る。

 

それって、理想の子育てじゃない…?

それって、躾のあるべき姿じゃない…?

それって、教育の真髄じゃない…?

人の心に寄り添うって、そういうことよね、そこの娘さんよ…。

 

名刺交換をした相手の名前の上に

キャッチコピーとして“心をデザインする。”と書かれていたら。

ちょっと仕事頼んでみたくなるかもしれないレベルだぜ…。

 

 

ついこの間もそうだった。

 

私はこのジェンダーフリーの世の中で

「男の子は暴れるから嫌だよね」とか

「女の子だから遊びやすい」とか、

そんな視点で人を判断するのは、

子どもとていかがなものかと思っている。

 

だってその枠に当てはまらない人たちが

世の中にはたくさんいるってことを、私は知っているから。

むしろガサツで適当で変なところこだわりがちな母親の私も(おそらく娘も)

その枠から大方はみ出している性分だし。

 

だからそういうことを娘が口走った時、

私はすかさず言ってきた。

「男の子だって優しくておとなしい子はいるよ?! 」

「女の子だって強い子はたくさんいるよ?! 」と。

そりゃもう日常のどんなことを教えるよりも自信満々に。

 

すると先日、娘が唇の皮が剝けるというので

「リップを塗りなさい」というと

「男の子は、唇の皮が剝けるって破ってたよ? なんで?」と、娘。

 

そこで思わず「男の子はリップ塗らないからじゃないかな」

と言ってしまった私。

その言葉を、娘は聞き逃さなかった。

 

「ねぇ、ママ? 男の子でもリップ塗る子は居るよ?

男の子だからってリップを塗らないわけじゃないよ?

ねぇママ? (うんたらかんたら∞)」

 

もしかしたら、とうっすらい思いはしていたけど。

この展開、キタ~~~~~~~!!!

(言い方までなんか私っぽいし、

それより正直なんかちょっとUZA…!!!)

 

 

しばらく娘の講釈が続いた後、

私は思い知らされた。

自分って母親は、なんだか相当面倒なやつなのだと。

 

中城明日香

 熊本市在住のフリー編集者・ライター。大分県山の中育ち。6歳と2歳の姉妹の育児は、月月火水木金金の勢いでほぼワンオペ。夫の職業は“理系。”とだけ答える無頓着さで、仕事と子育て、家事全般を白目を剝いてこなす日々。  毎週録画している番組は「渡辺篤史の建物探訪」、「今夜くらべてみました」、「ボクらの時代」。取材も「いつ始まっていつ終わったのかわからない」と称される“ボクらの時代スタイル”でやってます。

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